京都のインバウンド市場の今!2025年の6月のインバウンド市場の現状レポート
1. インバウンド市場の現状と予測
2025年5月の訪日外客数は369万人に達し、5月として過去最高を記録しました。5月までの累計ではすでに1,814万人を突破し、コロナ前の水準を大きく上回る勢いで高水準を維持しています。インバウンド市場はコロナ禍からの回復を果たしただけでなく、今や記録を更新し続ける新たなフェーズへと突入しています。
2. 国別訪日外客数の最新動向(2025年5月)
5月単月の総訪日外客数は3,693,300人となり、16か月連続で同月過去最高を更新。前年同月比では約65万人(21.5%)増という大幅な伸びを記録しました。国別ランキングでは、韓国(約82万人)・中国(約79万人)・台湾(約53万人)・米国・香港の順で上位を占め、特に韓国・中国・台湾・米国はいずれも「5月として過去最多」を達成しています。
3. 京都のインバウンド市場(宿泊率の推移 2025.5)
また、宿泊面でも顕著な回復傾向が見られます。京都市における外国人延べ宿泊者数は652,457泊と、前年同月比で16.1%増加。2025年5月まで15か月連続して前年を上回る状況が続いています。4月の外国人宿泊比率は、2014年の統計開始以来の過去最高を記録しており、特に主要ホテルでは全体稼働率の6割以上を外国人宿泊者が占める月も出てきています。
インバウンド市場は今後も堅調な拡大が見込まれ、訪日客の動向や受け入れ環境の整備が、地域経済や観光政策において一層重要なテーマとなりつつあります。
4. 京都のインバウンドニュース
祇園祭の多言語対応が進化中――QRコードと通訳ボランティアの連携で、文化を“伝わる体験”へ
訪日外国人観光客の増加に伴い、観光地の現場では「伝わる環境」の整備が急務となっています。中でも世界的に知られる京都・祇園祭では、デジタルと人的サポートの両輪で、多言語対応の取り組みが加速しています。
2024年には、インタセクト・コミュニケーションズ株式会社が、函谷鉾保存会と連携し、展示解説を多言語化するQRコードを導入。スマートフォンの言語設定に応じて英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語の情報を表示する仕組みを実装しました。歴史ある懸装品の解説においては、すべてネイティブ翻訳を用いることで、文化の背景まで丁寧に伝える工夫が施されました。また、同時期に導入されたQRコード決済も利用が大幅に増加し、1人あたりの購買単価も上昇するなど、ユーザー体験の向上が成果として表れています。
さらに2025年には、京都外国語大学が祇園祭山鉾連合会の要請を受け、学生による通訳ボランティアを派遣。英語や中国語などを学ぶ学生が、事前研修で歴史や通訳技術を学んだ上で、山鉾周辺にて外国人観光客の案内を行いました。本取り組みは、学びの場であると同時に、現場での“伝える力”を支える人的資源の強化策としても高く評価されています。
このように、祇園祭の現場では「デジタル」と「人の力」を組み合わせた多言語対応が着実に進化しています。日本文化の奥深さを的確に伝えるためには、一方通行ではない、相互理解の設計が欠かせません。今後も、祭りをただ“見る”ものから“伝わる”体験へと変えていくための多様な工夫が期待されます。
さいごに
足元では順調な回復と拡大が続くインバウンド市場ですが、その持続的成長には地域全体での受け入れ態勢の強化や、多様なニーズへの柔軟な対応が不可欠です。観光が一過性の経済効果にとどまらず、地域社会との共生や文化の継承にもつながるよう、今後も継続的な観察と取り組みが求められます。
▼出典
インタセクト、京都・祇園祭をデジタル化!1つのQRコードで多言語表示に対応したインバウンド支援を実施(PR TIMES)