Article

私たちの取り組み
Column
2024.04.10

金継ぎから学ぶ生き方のヒント
〜松田漆工芸さんにて金継ぎ体験を行いました!〜

金継ぎから学ぶ生き方のヒント 〜松田漆工芸さんにて金継ぎ体験を行いました!〜

こんにちは!株式会社Sharing Kyotoの北です。
今回は私が先日人生で初めて体験した金継ぎの魅力をご紹介します!

まず初めに、なぜ齢24の若造が伝統工芸の金継ぎに興味をもったかというと、弊社は外国人観光客向けの体験コンテンツをいくつか企画しており、その中の1つで京都で60年以上漆塗師をされている松田さんと協同で金継ぎ体験ワークショップを開催しています。

もともと私はその体験コンテンツの通訳として参加者が金継ぎを体験しているのをサポートしていただけだったのですが、体験中の方が皆さん目をキラキラさせながら金継ぎに取り組んでいるのを見て、自分もいつか絶対にやってみたい!と思っていて、今回プライベートで松田さんにお願いする形で体験が実現しました。

金継ぎの魅力をいろいろ語る前に、そもそも金継ぎとは何ぞや?という方もいると思うので簡単にご説明します。

金継ぎとは?

「欠けたり割れたりした器を、漆を使って修復する伝統的な技法のこと」を金継ぎと言います。
「金継ぎ」と言いますが、実はほぼ漆で修復していて、金は最後の仕上げのときにのみ使います。

ちなみに、金継ぎをする上で必要不可欠な漆ですが、漆はとても貴重な素材で、1本の漆の木から採取できる樹液は、たったの180cc(コップ1杯分!)です。この180ccを採取するために漆の木を10年間育て、樹液を頂いたのちに1年で伐採することになります。
これだけでも、どれだけの手間ひまをかけて作品がつくられるものかご理解いただけるのではないでしょうか。

具体的な手順も1から書くととても長くなるので、興味のある方は調べて頂いて、今回は私が金継ぎに心惹かれる理由を書いていきたいと思います。

松田漆工芸 金継ぎ体験

金継ぎを教えてくださった漆職人の松田さんとの一枚。
会うととても気さくな方なのですが、瑞宝単光章という勲章を国から授与されているとんでもなく偉大な人なんですよ!

金継ぎの魅力

私が金継ぎに心惹かれる理由は、もちろん修復後の見た目がきれいなのもありますが、最も魅力的な部分はその精神性にあります!

金継ぎは壊れたものを直す手法の1つなのですが、普通壊れたものを直すときって、傷を隠したり、覆ったりして、壊れた箇所を目立たなくするのが一般的だと思いませんか?
バキバキに割れたiPhoneの画面を見せたい人はいないと思います。
しかし、金継ぎはその欠けた箇所やひび割れた箇所をむしろ強調して、作品全体の歴史や経緯を物語る要素とすることがあります。傷もそのモノの大切な1ページってことですね。

この考え方は、私たちの人生にも通ずる部分があると思っています。
私自身、コロナ禍に心が病んでしまった時期があり、それは世間からみたら「良くないこと」かもしれないのですが、今の私は、その経験があったから、自分自身ともう一度向き合うことが出来て新しい自分に生まれ変われたのではないかと思っています。

これからも、きっと私は人生や仕事の中で大きな失敗をしたり傷ついたりすることがあると思うのですが、その時に、「傷ついても、それは一つの価値になる」「壊れたものも、また修復できる」といった金継ぎの精神性や、不完全さを受け入れる侘び寂びの心を自分の中に飼っていれば、何かとストレスフルな現代社会でもやっていけるんじゃないかと勝手に思っています。(別に自己啓発っぽいことやスピリチュアルなことが言いたいわけではないです笑)

また、ファストファッションに代表されるように、大量生産・大量消費・大量廃棄が当たり前のこの時代で、壊れた器を直して大切に使い続けることって結構すごい事なんじゃないかなとも思います。
巷でめちゃくちゃ叫ばれているSDGsの考えにとてもマッチしている気がします。

私も今回体験で完成したうつわ(サムネイルに写っているやつです)を大切にして、このうつわを見たときに金継ぎから学んだ大切なことを思い出せるようにしたいと思います。

皆さんも日々の暮らしの中で、ほんの少しでも、うつわと向き合う時間を作ってみてはいかがでしょうか。

Writer
北 加寿志
北 加寿志
Kazushi Kita
Director
白と黒を愛する新人ディレクター。
好きなサッカークラブはユベントス。好きなポケモンはレシラムとゼクロム。